« あなたの好きになったものたちは きっとあなたを応援してくれる | Main | 「『キューティーパイ』萌え萌えライブ」再論、または、私的「萌え」論序説 番外編~ケーススタディ~ »

May 06, 2007

私的「萌え」論序説(1)~はじめに~



 先日参加したとあるイベント。短い時間ながらも充分に満喫したのでしたが、一点だけ引っかかった点が、それはイベントのタイトルにつけられた「萌え萌え」という言葉。その言葉に対して、どうもしっくり来ないモヤモヤとした気持ちは、イベントの感想を書くときにも影響しました。また、そのとばっちりを受けた形になったのは、「萌え萌え」だった司会のお姉さんへの表現。ちょっとまずかったかな、と思うとともに、そもそもなぜ自分が「萌え」という言葉にそこまで過剰反応したのか、不思議に思うのでした。
 ・・・というのが、これまでのお話。さて、今回のお話は・・・。


私的「萌え」論序説


はじめに


「萌え」という言葉の氾濫と私

 日本を妖怪が徘徊しています。「萌え」という妖怪が。・・・元ネタご存知でしょうか?、知っていたら知っていたで渋すぎなんですが・・・。
 とにかく、今の日本には、「萌え」という言葉が氾濫しています。2005年の流行語対象にも選ばれたこの言葉、様々な人々によって様々なシチュエーションで用いられています。一日の間で、一体何度、この言葉が発せられているのでしょうか?Yahooのブログ検索を使って調べてみました。Yahooのブログ検索を使って調べてみました。「萌え」という言葉でブログ検索すると、記事の総数で818,561件、一日以内の記事では、5,109件。また、この記事を書くきっかけになったといってもよい「萌え萌え」という言葉だと、総記事数で59,255件、一日以内の記事で371件でした(2007年5月6日23:04頃調べ)。この言葉が、相対的にどれだけ多いのかは分かりませんが、この言葉を日常的に用いている人々が、無視できない程度に存在していることは確かでしょう(・・・あまり根拠になっていないとは思いますが・・・)。


 一方、僕は、というとあまり積極的に使ってはいないと思います。その客観的な証拠として挙げると、このブログで「萌え」という言葉が登場するのは、わずか3回にすぎません。
 具体的には、今度開催されるコンサートのキャッチコピーとして、「ルーン魂で萌えあがる~ん♪」という言葉を取り上げたことが2回。そしてもう一回は、あるアニメのオープニングテーマ曲を紹介するときに、「いわゆる「萌え系アニメ」のオープニングらしい・・・」と書いたことです。

 「ルーン魂で萌えあがる~ん♪」というのは固有名詞といってもよく、自分の意思とは関係なく、そこに「萌え」という単語が入っているから、この言葉を使ったに過ぎません。また「萌え系アニメ」という言葉の場合も、そのアニメをカテゴライズする際にこの言葉を用いるのが一般的に理解されやすいかな、という判断で使ったまでに過ぎません。ですから、どちらの場合も、「萌え」という言葉を、自分の意思や感情を表すために用いたわけではありません。


 このように、僕は「萌え」というのは積極的に用いてはいない、ということができます。更に言えば、プラスの意味であれマイナスの意味であれ、「萌え」という言葉にあまり価値を置いていないんじゃないか、とも言うことができます。というか、むしろ感情的には否定的な価値の方が大きいのではないか、という気もします。そうでないと、「萌え萌え」という言葉に、そこまで過剰に反応するはずがないですから。

 でも、理屈として、「萌え」という言葉を否定的に感じる理由というのも、今まで思い浮かんでこなかった、というか、考えてこなかったのです。だから、どこか否定的な思いを残したまま放置しておき、この言葉を積極的には用いてこなかった、といえるのかもしれません。


この連載記事の目的

 お前が「萌え」という言葉を積極的に使わない、というなら、それでいいじゃないか、いちいちこんな記事を書いてんじゃない、と思うかもしれません。確かにそうかもしれません。でも、それだけで済ましていいのかという思いもあるのです。


 なぜかというと、この自分が日頃「萌え」という言葉で表現される対象に接しているからです。それなのに、「萌え」という言葉を積極的に用いないとすると、その対象をちゃんと理解できているのかという疑問も生じかねません。辛くないカレー、甘くないスイーツのように(この例えが正しいのかどうかは分かりませんが・・・)、その本質をちゃんと分かっているのかということにもなりかねません。

 また、「萌え萌えライブ」というイベントタイトルなのに、「『萌え萌え』とかじゃなくて・・・」なんて書いてしまって、果たしてよかったのかという思いも残っています(ここ)。内容としては、充分自信を持って書いてはいますが、さすがに(そのつもりはないにせよ)イベントタイトルの全否定というのはねぇ・・・。ちょっと、やりすぎかなとも思ったり、後ろめたさも感じたりしています。


 それはともかくとして、いずれの場合においても、そんな言葉を使わなくても、ちゃんとその良さを理解し、それを表現することができるぞ、と言いたいところではあります。でも、そうだとしても、なぜ「萌え」という言葉を使わないのか、また、使わなくても理解できると言い切れるのか、ということも説明する必要があります。別に説明する必要もないのかもしれませんが、自分の頭の中では理解しておきたいのです。

 こうした問題意識から、自分なりの「萌え」という言葉へのアプローチが今回の連載記事になります。そんな言葉を使わなくてもいいのではないか、という否定的に近いスタンスでは立っていながら、それにもかかわらず「萌え」の世界(・・・というのが、どこまでを指すのかも論点になりそうですが・・・)にはそれなりの程度入り込んでいる、という矛盾を、どのように説明できるのか?「萌え」という言葉に対する、自分なりのスタンスを求める思考の散策がこれから始まるのです。


 と、きれいにまとめたつもりですが、ここまででかなりの分量になって、一区切りが付いたので今回はここまでにしたいと思います。


 ただ、最後に1つだけ。この連載は、あくまでの自分のスタンスを確かめるためのものであり、他人様に対してどうこうと言うつもりは全くございません。他の人が「萌え」という言葉をどのように使っているのかは気になるところではあります。しかし、自覚的であれ無自覚的であれ、他人様がどのように用いていようと、私がとやかくいう立場にあるはずがございません。

 最初の書き出しで「妖怪」の例えを用いたので、書き終わりが「万国のオタク、団結せよ」とかいうタイプの文章だと思われるかもしれませんが、別にそんな意図はありません。他人様に向けて、どうこうと訴えかけるマニフェスト(宣言)ではなく、あくまでも、自分がこう思うという、私的な覚書きに過ぎません(遊んでいる、と言ってもいいけど)。その上で、何かトロイこと言い出しているよ、と生暖かく見てくれれば結構です。おかしいところは指摘して、くれてもいいんですけどね。自信を持って書いているわけじゃないし、あくまでも叩き台に過ぎませんから。


|

« あなたの好きになったものたちは きっとあなたを応援してくれる | Main | 「『キューティーパイ』萌え萌えライブ」再論、または、私的「萌え」論序説 番外編~ケーススタディ~ »

Comments

初めまして、お目にかかります。

「萌え」について…
大変興味深い内容についついこうして口を挿みたくなりました…

実は先日のライブの『萌え萌え』というタイトルに関しましては
貴殿と全く同じ(だと思うのですが)考えを抱いておりまして…
先日の発言はまさに胸の内を代弁して貰ったかの様な爽快感を感じておりました。

確かに一般観衆の持つ『萌え』というイメージを考慮した時、
現在アキバを拠点に活動する彼女達をそう呼ばざる負えない事情は鑑みることができるのですが、
やはり彼女達を見続けている(といっても私は若輩者ですが…)者としては、「何か違うだろ?」と小一時間主催側に説教をしたくもなります。

ただ、この『萌え』という言葉を現在使われているイメージではなく、
本来の『萌え』という語のもつ意味として考えた場合
彼女達を『萌え』と称する事もまた一つの真理であると納得致します。
即ち、「山野に萌ゆる新芽の如く」などと言われる様に、
緑の若草が芽吹く様、それを『萌える』というのですが、
だとすれば、大観衆の中に芽吹く3つの若草が如く
華やぐ彼女達を『萌え』と称さずなんと称するのか。
…といった展開もできるのですが、なんだかなぁ。

結局『萌え』といった言葉を使った瞬間に
物凄くそのモノの価値が安くなってしまうような気がするのです。
恐らくその辺の意識が彼女達を『萌え』と呼ぶことに対する嫌悪感になって現れていると思うのですが…

とかくも貴殿の『萌え』理論を今後の楽しみにしていますッ!!
世間の風評がどうあれ、どうか頑張って下さいネッ!

それでは、初カキコにして、この長文という殆ど嫌がらせのような
書き込みになってしまいましたがこれにて失礼致します。
因みに私も昨今の『萌え』には嫌気が指している人間に御座います。


Posted by: 紅薔薇さん | May 07, 2007 at 23:49

こんにちは、紅薔薇さん
お返事が遅れてしまって申し訳ありませんでした。

確かに、初めまして(?)ですが、
私の「お友達(?)」から紅薔薇さんのことは伺っていますよ(笑)。


さて、大変力作なコメント、ありがとうございます。
こんな辺境ブログに対して頂くには
もったいない程の充実した内容で、とても嬉しいです。


まず、

>実は先日のライブの『萌え萌え』というタイトルに関しましては
>貴殿と全く同じ(だと思うのですが)考えを抱いておりまして…
>先日の発言はまさに胸の内を代弁して貰ったかの様な爽快感を感じておりました。

そんなお言葉を頂いて、ホッと胸をなで下ろしています。
というより、むしろ、やったぁー\(^o^)/、と喜んでいます。
そんなことを言って大丈夫かな、という思いもありましたが、
思い切って言い切ることができて良かった、と思うのです。
他の方がどう思うかについては、きっといろいろあるかとは思いますが。
ひとまず紅薔薇さんだけでも共感していたけたことに、非常に自信を持てました。
ありがとうございました。

また、彼女達を「萌え」と表現することについてですが、

>結局『萌え』といった言葉を使った瞬間に
>物凄くそのモノの価値が安くなってしまうような気がするのです。
>恐らくその辺の意識が彼女達を『萌え』と呼ぶことに対する嫌悪感になって
>現れていると思うのですが…

仰るとおりだと思います。
何となく感じていた違和感の輪郭が明らかになってきたようです。
「萌え」という言葉を用いることについてのネガティブな側面が
そういった形で出てくるのかなと思いました。

その辺のことについて、もう一度考えてみると、
また1つの記事ができそうです。
(というか現在執筆中)
非常に、マニアックで理屈っぽい内容になるかもしれませんが、
もし出来上がりましたら、御笑覧くださいませ。

あと、「萌え」という言葉を使わないとしたら、
彼女たちの素晴らしさをどのように表現するのか、というのも、
これからもこのブログで彼女たちのことを語っていくのなら、
課題になっていくな、と思いました。
果たして自分にそれがキチンと出来ているのか・・・、
まだまだ心もとない限りですが、これからも挑戦し続けたいと思います。


一方、
「私的『萌え』論序説」シリーズについては、
とりあえず立ち上げてみたものの、
論点が多くて拡散しすぎて、自分のスタンスも定まらず、
正直いって、この先どうしよう、と迷っている段階です。

今回の記事を上げたあと、
「萌え」を語った様々なブログを覗いているのですが、
自分と同じようなことを考えている人は、結構いますね。
というより、自分がボンヤリと思っていたことを
既に明確な言葉にされてしまっている・・・といった感じです。

そんな中で、自分のやろうとしていることは、
そういった「先行業績」の焼き直しに過ぎないのかもしれません。
でも、あくまで自分の今後の視座を獲得するのが目的なので、
あせらずじっくりやっていこうと思います。
きっと忘れたことに、第二回が掲載されると思います(笑)。

本文でも書いた通り、
どちらかというと、僕自身はネガティブなスタンスに立っている
「萌え」という言葉なのですが、
でも、どこかポジティブなポテンシャルを秘めているのかも、
という可能性も隠されているとも感じるのです。

いまやオタクの使用言語というレベルを超えて、一般的にも使われていて、
それは一部ではこの言葉の持つ意味の衰退とも捉えられてはいますが
その一方で、そこまでの広がりを持つ理由は何かという、
というのも、何だかとても気になるのです。
更に言うと、そもそも何故この言葉が、
オタクの使用言語の代表ともいえる位置を占めるようになったのか、
というのも考える必要があるかも。
・・・とやっていくと、論点は拡散し、収拾が付かなくなるわけデス。

それはともかくとして、
こうした意味でも、この言葉には、
どこか矛盾したスタンスに現在自分が立っているのかもしれません。
この連載記事を通じて、そんなところも考えていきたいと思います。

そして、こうして「萌え」という言葉を問い直してみて、
この連載を書き終えた頃には、
もしかしたら、
彼女たちこそ、真の意味で、「萌え萌え」なのだ、
と新説(?)を唱えだしているかもしれません(笑)。
・・・今のところ、あり得ないけど。


ということで、
こちらのお返事もすっかり長文になりましたね。
(それでも、まだ言い尽くせていないし・・・)
いろいろと思考を刺激するコメントを頂いて
とても感謝しています。ありがとうございました。

Posted by: tanken2 | May 10, 2007 at 06:08

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/38662/14980993

Listed below are links to weblogs that reference 私的「萌え」論序説(1)~はじめに~:

« あなたの好きになったものたちは きっとあなたを応援してくれる | Main | 「『キューティーパイ』萌え萌えライブ」再論、または、私的「萌え」論序説 番外編~ケーススタディ~ »